街の片隅にひっそりと建つ、古びた有料洋式便所。一見すると何の変哲もないこのトイレには、誰もが知らない秘密が隠されていた。主人公のカズマは、偶然その秘密に触れることになる。ある日、カズマは友人との待ち合わせに遅れそうになり、慌ててこの有料トイレを利用する。しかし、コインを投入すると、突如として便器が光り輝き、彼を別の世界へと連れ去った。
目を覚ますと、カズマは中世ヨーロッパのような異世界にいた。ここは「レトリア」と呼ばれる国で、トイレは実は古代の魔法で作られた次元の扉だったのだ。カズマはこの世界で、トイレにまつわるさまざまな冒険と出会いを経験する。彼は貴族に間違われ、王宮でのパーティーに招待されたり、トイレの神秘を巡る陰謀に巻き込まれたりする。
しかし、カズマが本当に求めていたのは、この不思議なトイレを通じて得られる「家族の絆」だった。彼の家族は昔、このトイレを通じてレトリアに渡り、そこで生活を営んでいた。しかし、ある事件がきっかけで彼らは現代の世界に戻ることになり、その際にカズマはこの世界に置き去りにされてしまったのだ。
レトリアでの様々な出来事を経て、カズマはついに家族との再会を果たす。彼らはカズマが現代の世界で生きていたことを知り、涙ながらに再会を喜ぶ。そして、カズマはレトリアと現代の世界を行き来しながら、二つの世界での生活を楽しむことになる。
物語はカズマが再び有料トイレの前に立つシーンで終わる。彼はコインを投入し、扉が開くのを待つ。その瞬間、彼は新たな冒険に胸を躍らせていた。この有料洋式便所は、ただのトイレではなく、未知の世界への入口だったのだ。
そして、読者もまた、この物語を通じて、日常に隠された小さな冒険と驚きを発見する。一枚のコインが開く、無限の可能性の扉。それが、この有料洋式便所の真の魔法だった。